若者のための身体・性・心の相談窓口「美ら海ユースクリニック」開設
子供の出生率が全国より多い沖縄県。しかし子供の貧困率が全国の2倍と言う現実を見ると、子育てしやすい環境とは別の問題も垣間見えます。経済的な貧困が生み出す問題は多種多様で、1人で抱え込むしかないと思っている人も多いのではないでしょうか。
ユースクリニックは1人で悩む若者が気軽に相談出来る事を目的とした施設(機能)です。
今回は、沖縄県で若者の相談事象をされている「美ら海ユースクリニック」様を取材しました。
ユースクリニックとは
スウェーデン発祥のであり、看護師・医師・助産師・心理士の相談が無料で受けられる場所です。
こちらで詳しく解説しています。
クリニックと言うと日本では病院での診察をイメージしますが、ユースクリニックは、学校で言う「保健室」のようなイメージです。
前述したように、誰にも言えない悩みは多種多様で、悩みの捉え方、感じ方も人それぞれです。
悩みを生み出したのが周囲の環境であっても、自分の責任であっても、1人で悩む必要はないのです。
一人ひとりの心に寄り添ってくれる、そんな場所です。
美ら海ユースクリニックとは
沖縄県名護市にあります「美ら海ハシイ産婦人科」内で月1回開催されています(^^)
産婦人科医、思春期相談士などの専門家に無料で相談ができます!
もちろん秘密厳守で、カウンセリング内容は誰にも知られることはありません。
公式LINE
https://instagram.com/churaumi_youthclinic?igshid=MzRlODBiNWFlZA==
美ら海ユースクリニック開設のきっかけ
美ら海ユースクリニック代表 深津真弓医師
沖縄が抱える問題を痛感
沖縄に移住され、診療している中で沖縄が抱える問題に直面します。
- 若年妊娠が多い(全国平均の2倍)
- 多産であること(全国平均の2倍)
- 貧困世帯が多い(全国平均の2倍)
- 高校中退車が多い(全国の2倍)
他にも母子世帯が多く、母子世帯の収入も全国に比べて低いという結果が出ています。
https://www8.cao.go.jp/okinawa/3/kodomo-hinkon/shiryou/kodomo-genjou3.pdf
県内の医療体制の現実
県内でも那覇周辺の南部地域に比べると、名護市より以北に位置する北部地域では産科だけでなく病院へのアクセスが難しくなります。まず病院自体が少なく、公共交通機が充実していない為です。離島在住の方が出産となると、37週あたりから病院周辺のウィークリーマンションや滞在型ホテル等に滞在することも多いのだとか。南部地域と北部地域では、内地で言う都市部と地方ぐらい差があるのだそうです。
日本の性教育の遅れ
学校で必修にはなっていますが、若年での妊娠や性行為を助長させないと言う観点からか、他国と比べて遅れをとっています。2021 年の学習指導要領を見ると、 小学校 5 年生の理科で「受精に至る過程は取り扱わない」中学校 1 年生の保健体育科で「妊娠や出産が可能となるよう な成熟が始まるという観点から、受精・妊娠を取り扱うものとし、妊娠の経過は取り扱わない」等、暗黙の歯止め規定があり、不十分な学習内容であることが現実です。
ネットが普及している現代では、自分で調べることができますが、ネット上にある誤解しやすい情報を鵜呑みにしてしまう子どもたちに、正しい知識を身につける機会が必要です。
上記の通り、学校では生理や射精に関することは学びますが、性交や授精に関しては具体的に学びません。友達・交際相手から聞くことや、ネット上にある性的表現のある媒体(アダルトサイト等)から知識を得ていては、性の知識、認識に偏りができてしまいます。
また、30代〜40代のがん検診受診率が先進国の中でも最下位であることからも分かるように、日本の産婦人科学受診率は全体的に低く、性教育の相談の管轄とはなっているものの、実際の相談に至らない方がほとんどです。
「女性だけが悩む問題ではない」
女性向けの相談外来と若者向けの「ユースクリニック」設立へ
若年出産や多産による貧困に直面した深津医師。
性教育に関して学んでいくにつれて、スウェーデンの「ユースクリニック」と言う存在を知ったそうです。
大人が包括的性教育について学ぶために若者専用のユースクリニックと、時間を分けて大人も来院できる時間を設けておられます。
現在、月1回の開催ですので時間を分けて開催されています。
※詳しくは公式SNS参照
開催時の状況は?
相談に乗ってくださる深津医師は、気さくで話しやすく、誰にも言えない悩みでも話しやすい、優しい雰囲気の女医さんです。開催日は、子供の性教育について関心のあるお母様方の相談で賑わっています。
希望者には産婦人科受診に繋げてくれるケースがあり、他にも悩みによっては専門的なケアを受けられるよう道筋を作っておられます。
今後の活動は?
病院が少ない北部地域で、ユースクリニックを出張開催し、相談を気軽に利用できる方を増やしていく予定で準備を進めておられます。若年層の相談が浸透するよう、学校での相談を行って行くそうです!ユースクリニックや産婦人科に若者たちが気軽に相談できるようになったらいいですね。